サンワローラン株式会社様

手書き帳票の管理や現場改善に「カミトレ」が効果を発揮
月刊食品工場長 2014年6月号より転載

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従業員の健康管理表や温度記録表、製造日報など、食品工場では実にさまざまな帳票が使われている。だが、紙帳票は問題発生時のトレースに時間がかかり、保管場所にも困るのが難点。そこで、紙帳票をそのまま電子化しひも付けできるよう開発されたのが、㈱ローゼックの帳票管理システム「カミトレ」だ。約2年前に「カミトレ」を導入した業務用パン製造・卸のサンワローランは、本来の目的である手書き帳票の記録や保管、トレースの機能はもちろん、現場改善のツールとしても有効活用している。

現場に負荷が掛からず導入・運用も簡単

「大掛かりな支援システムを導入するとなれば専任の担当者を置かなければならず、コストアップにつながります。私ども中小企業が求めるのは、現場に負荷が掛からず、低価格で簡単に導入・運用できるシステムでした」

サンワローランの福田徹常務取締役は「カミトレ」導入の理由をこう話す。

「カミトレ」は、生産管理システムを開発・販売するローゼックが東京都中小企業振興公社より新製品・新技術開発助成事業の認定を受け、2012年に発売した食品製造業向け帳票管理システム。QRコードを印字した紙帳票をスキャナーで読み込み、自動的に分類保存するもので、従来は紙の現物を見なければ分からなかった手書きの情報がネットワーク上のどこからでも閲覧・検索でき、製造日報にロット番号を入力すればトレーサビリティも可能となる。パソコンとプリンター、スキャナーがあれば、新たにハードウエアを購入する必要がなく、フルパッケージ版で1工場につきライセンス25万円、導入支援費24万円からと、価格もリーズナブルな点が特長だ。

サンワローランが「カミトレ」と出合ったのは12年。その3年前から帳票の一元化を進めていたものの、帳票の種類が年々増え続け、この先どのように管理したらいいのか考えていた矢先のことだった。安全・安心で高品質なパンをホテルやレストラン、喫茶店など約2000店に販売する同社の強みは、機械化できるところは積極的に機械化する一方、創業以来のこだわりである「手作りの良さ」を守り、多品種少量生産で顧客ニーズにきめ細かく対応できること。1日当たりの製造アイテム数は約230種類。そのため帳票類も多く、配合表以外にも入出庫管理表、冷凍庫の温度管理表、賞味期限の管理表、衛生管理チェックシート、施設・作業者衛生管理表、金属探知機作業確認書など30種類以上に上る。

「カミトレ」を導入した背景には、取引先からの要求レベルが上がってきたことがある。ハード面においては、08年に新工場を建て万全な体制を整えたが、管理面においても「きちんと記録付けされ、何か問題があったときにトレースできることが、取引条件の一つに挙げられるようになった」(福田常務)という。

タブレット端末を現場に設置しペーパーレス化することも検討したが、 粉と水、 油を使う過酷な環境に精密機器を持ち込むのは現実的とはいえなかった。コンピューター作業に不慣れな従業員が多く、急な生産変更への柔軟な対応が難しいこともネックとなった。既存の紙帳票をそのまま使える「カミトレ」こそ、同社の現状に即したシステムだった。

設定時刻に必要な帳票が自動出力

「カミトレ」の最大の魅力は、現場への負担がなく、スムーズに導入できること。「いつも使っている帳票にQRコードが追加されただけなので、導入に気が付いていない従業員も多いと思います」と、業務部電子管理の原正志主任。自身の業務量も軽減されたと明かす。「帳票の準備や印刷を行っていますが、パソコンの電源を入れておけば、あらかじめ設定した時刻になると必要な帳票が出力されます。私の不在時も問題ありませんし、空いた時間を別の仕事に振り向けられるようになりました」。さらに、賞味期限の管理についても格段に精度が向上、手入力による日付間違いの危険性が低下した。もちろん、取引先から問い合わせがあった際には、 製造日や製品名、 ライン名、帳票名などから目当ての帳票を簡単に探し出せ、迅速な対応が可能となった。

「カミトレ」を運用して約2年。業務の効率化だけでなく、現場改善にも効果を発揮し始めている。「帳票を日々見ているときは気付かなくても、連続的に見ることによって、一連の作業のどこに問題があるかを発見しやすくなり、人員配置を変更するなどスピーディーな改善に結び付くようになりました」(福田常務)

一方、従業員の意識にも変化が表れ始めている。帳票に書き込む字がきれいになり、記入漏れやミスへの注意力が高まり、 帳票の提出期限も守るようになった。「帳票の配布と回収を毎日行うので、工場と事務所のやりとりも増え、風通しが良くなってきた」(原主任) ことも収穫だ。

「カミトレで蓄積したデータは、いざというときのリスクヘッジに必要となる車の保険のようなもの」と、福田常務。今後は業務日報や営業日報などもシステムに取り込み、活用の幅を広げていきたいとしている。

ローゼック 早川雅人より
帳票管理に特化した機能限定版をリリース

「カミトレ」は中小食品メーカー向けに開発したシステムです。帳票を発行・回収した日付がデータベースに記録され、捏造できない仕組みになっている点も特長の一つです。当社は5月26日、帳票管理に特化した機能限定版(ロット番号を入れた管理はできない)をリリースしました。簡単なアンケートに回答いただいた食品メーカーさまに限り無料で利用できます。当社HP(http://www.rozec.co.jp)またはFOOMA JAPAN 2014のブースにてお申し込みください。

(ローゼック 早川雅人)
月刊食品工場長 2014年6月号より転載